2016年09月18日

ネット上の文章は段落の先頭を1マス空けるか問題(1)

 〔約2400文字|読了の目安:4.8分〕

 ネット上に文章を書くとき、段落の先頭の文字を字下げするかしないかという問題がある。言い換えると、改行した後に行頭を1マス空けるか空けないか。インデントともいう。

 要するにこういうこと。

◎字下げする場合

 僕の経験するところによれば、今の小説の読者といふものは、大抵はその小説の筋を読んでゐる。その次ぎには、その小説の中に描かれた生活に憧憬を持つてゐる。これには時々不思議な気持がしないことはない。
 現に僕の知つてゐる或る人などは随分経済的に苦しい暮らしをしてゐながら、富豪や華族ばかり出て来る通俗小説を愛読してゐる。のみならず、この人の生活に近い生活を書いた小説には全然興味を持つてゐない。
 第三には、第二と反対に、その次ぎには読者自身の生活に近いものばかり求めてゐる。

 引用元:芥川龍之介『小説の読者』青空文庫

◎字下げしない場合

僕の経験するところによれば、今の小説の読者といふものは、大抵はその小説の筋を読んでゐる。その次ぎには、その小説の中に描かれた生活に憧憬を持つてゐる。これには時々不思議な気持がしないことはない。
現に僕の知つてゐる或る人などは随分経済的に苦しい暮らしをしてゐながら、富豪や華族ばかり出て来る通俗小説を愛読してゐる。のみならず、この人の生活に近い生活を書いた小説には全然興味を持つてゐない。
第三には、第二と反対に、その次ぎには読者自身の生活に近いものばかり求めてゐる。

 小学校で原稿用紙の書き方を習ったときは、字下げすると教えられた。しかしネット上では字下げしないことが多い。一体どちらにすべきなのか。
 この件については以下のように疑問が呈されているが、まともな結論は得られていない。
 かつて文章の書き方は「段落初行一字アキ」が原則であり、すべ… - 人力検索はてな
 改行の後、次の行の先頭に1文字分のスペースを空けない文章を… - 人力検索はてな

 この件について以前から考えていたが、自分なりに結論が出た。

【結論】
  • 改行後に1行空けないなら、字下げするべき。
  • 改行後に1行空けるなら、字下げしなくてもよい。

改行後に1行空けない場合

 字下げする理由は、そこに段落があることが一目でわかるようにするためだ。

 字下げすれば、行頭(左側)を見るだけで段落の位置がわかる。

 字下げしなくても、行末(右側)に余白があるかどうかを見れば段落が分かれているかわかると考える人もいるだろうが、たまたま段落の最後の行末に文末がくる場合、そこに改行(=段落)があるかどうかは区別できない。

 また行頭の高さが揃っていると、行末の余白を確認して次の行頭に目を戻す際、どこが次の行かわかりづらい。1行の文字数が多い(長い)ほどわかりにくい。字下げしていれば、そこを目印にできる。

 したがって改行後に1行空けないのなら、段落の最初は字下げしなければならない。

改行後に1行空ける場合

 一方ネットでは、改行したら1行空ける書き方をよく見かける。

 これだと「1行空いている所が段落の分かれ目」になるので、それだけで段落の位置が明確になる。字下げする代わりに1行空けているわけだ。だから字下げする必要はない。

 ただし個人的にはこの場合でも字下げしていいと思う。
 なぜかというと、ネット上では文章のプロではない人もたくさん文章を書いており、その場合は文章の体裁が必ずしも統一されていないからだ。改行後に1行空けている人がいたとしても、その人が常に「改行後に1行空ける」という約束を守るとは限らない。改行しても1行空けずに、行頭も下げない場合がある可能性が捨てきれない。
 読み手としては、「ここは1行空いていないけど段落があるかもしれない」という可能性を考慮しながら文章を読むのは負担になる。それなら1行空ける場合でも行頭も下げてしまえば段落の位置は明確になり、負担はなくなる。
 文章の体裁が統一されている商業サイトなどなら、そこまで考える必要はないけど。

段落の原則

 上記2点に共通する原則は、「どこが段落か一目で確認できるようにするべき」ということだ。
 この原則を踏まえれば、体裁の異なる文章でも、字下げするべきかどうか判断できる。

 例えば雑誌ではページにより様々なレイアウトがあり、文章の体裁もいろんなパターンがある。以下はその一例。


*1

 これらは一般の字下げとは違うが、段落が認識できるように工夫されていることがわかる。つまり段落が認識できるなら、字下げする必要はない。
 それを突き詰めたのがこちら。みなさんご存じ、天声人語。


引用元:朝日新聞 1994年6月29日 朝刊*2/クリックで全文表示

 これは▼が段落を表している。もはや改行もしていない。狭い領域に文章を押し込める知恵だ。

 また、雑誌にはこのような例もある。

*1

 ←のように、画像の周囲につけられる説明文は字下げされていないことが多い。同様に→のような短い文章も字下げされていない場合がある。
 これらは段落が認識できる工夫がされていないのに、なぜ字下げしないのか。段落が1つしかないからだ。1つしかないなら、段落の境界を認識させる必要はない。


*1: 引用元:『gM』1999 01 ソフトバンク株式会社
*2: まったくの余談だが、このように天声人語は松本サリン事件の第一通報者をほぼ犯人として扱った。その後無実が判明した際、朝日新聞社としては謝罪したが、天声人語の欄ではこの件に一度も触れなかった。その後触れたのは2014年6月28日朝刊→。はるか20年も経過した後であり、執筆者も交替しており、この欄で犯人扱いしたことにも触れず、反省の色は不十分だ。書き写すような価値はない。

posted by 葛 at 19:31 | Comment(0) | 語ってみた

2016年09月05日

[Photoshop] 素早くピクセル単位で切り抜く

 自炊(本などをスキャンしてパソコンに取り込むこと)をするときなどに、画像を切り抜く作業がよく発生するんだけど、これがピクセル単位で丁寧にやろうと思うと少々手間がかかる。

 Photoshop CS6 だと主に以下の3つの方法があるが、

[切り抜きツール]
ピクセルにスナップしないため、どこで切り抜かれるのかわかりづらい。選択範囲の端をドラッグする際、妙に重くて使いづらい。
[イメージ>切り抜き]
ピクセル単位で精密な選択範囲を作るのは難しい。
[イメージ>カンバスサイズ...]
何ピクセル削ればいいのかわかりにくい。少しずつ何度も削る羽目になる。

 なので、なるべく手間にならない方法を考えた。

選択範囲を反転して切り抜く

 上記の[イメージ>切り抜き]は「選択範囲以外を削除」だが、「選択範囲を削除」した方が便利な場合も多い。なのでアクションで実現する。

■アクションを登録

 選択範囲を作った状態で記録開始し、

 1.[選択範囲>選択範囲を反転]
 2.[イメージ>切り抜き]
 3.[選択範囲>選択を解除]

 の3つを記録する。
 アクションをダブルクリックして、適当なファンクションキーに割り当てる。


■使い方


「ハンセン病の向こう側」 発行日/平成26年12月 発行/厚生労働省

 こんな感じでスキャン後に余白がある場合、四隅を削除したい(傾きは補正済み)
 そしたらこのように、余白を広めに選択する。

 そして切り抜きたい境界を拡大し、選択範囲がそこに一致するよう←→キーで1ピクセル単位で移動させる(Shift+←→ で10ピクセルずつ移動する)

 このとき、引いた状態だとこうなっている。

 ここで先ほどのアクションを実行する。

 はい削れました。


〈注意点〉「切り抜き」は選択範囲が画像の四辺に接していると実行できない。上記の場合、選択範囲を上下に動かすと選択範囲を反転したときに四辺に接してしまう。

利点:削る位置を視覚的にピクセル単位で指定できる。
欠点:一隅ずつしか削れないため、四隅を削るには四手間かかる。

ガイドにスナップさせる

 削るのが一隅か二隅なら上記の選択範囲を反転する方法でいいけど、四隅ある場合はこちらの方が速いかもしれない。
 ガイドを出し、そこにスナップさせて切り抜く。

 まず[表示>定規](Ctrl+R)を出す。
 画像の左上をズームし、定規からドラッグしてガイドを出し、上辺と左辺の切り抜きたい位置に置く。ガイドをドラッグ中に Shift を押すと、ピクセルにスナップする。

 次は画像の右下をズームし、右辺と下辺に同じことをする。
 このときスクラブズーム(虫眼鏡ツール〈Ctrl+Space〉で左右にドラッグする)を使うと速く移動・表示できる。

 このようにガイドで四隅が指定できたので、[表示>スナップ]をオン、[表示>スナップ先>ガイド]をオンにすると、選択範囲や切り抜きツールがガイドにスナップするので、そのまま切り抜く。
 [表示>ガイドを消去]でガイドを消す。
 余白が数ピクセル残っていたら、[イメージ>カンバスサイズ...]で 1, 2 ピクセル削る。

余談

◎余談1
 JPEG は、なぜか Photoshop のガイドが保存できる。ネット上にある JPEG のイラストを Photoshop で開くと、ガイドが残っていることがある。

◎余談2
 Photoshop CS6 のガイドは、画像の右下をズームした際、ドラッグ中に表示されないとか、Shift を押すと2ピクセル単位で移動しちゃうとか、Shift を押すと位置が 0.0pixel になっちゃうというバグがある。

◎余談3
 自分は[イメージ>切り抜き]を F2、「選択範囲を反転して切り抜くアクション」を F3 に割り当てている。

posted by 葛 at 20:45 | Comment(0) | その他2Dグラフィック

2016年08月13日

JPEGを再圧縮すると劣化するかテスト

 JPEGは非可逆圧縮だから、くり返し保存すると劣化する、保存し直す場合はPSDなどのソースファイルからしないといけない、といわれている。
 実際、どれくらい劣化するのだろうか。

 以下のテストは、Photoshop CS6、画質5(中)、ベースライン(最適化)で行った。

テスト1:劣化しない

 画像をJPEGで保存して閉じ、また開いてJPEGで保存して閉じ、を10回くり返した。


画像は400%に拡大している。ノイズが正確に拡大されるよう、ニアレストネイバー法を選んでいる。

 1回目の保存で一番劣化が進んでいるのは当然で、2回目にも少しノイズが増えている。しかし3回目以降はノイズが増えている様子は見られない。
 同じ画像に対してJPEG圧縮をくり返しても、劣化はほとんど進まないようだ。

テスト2、3:劣化しない

 テスト1で劣化が進まないのは、画像が同じなため同じ圧縮アルゴリズムが毎回適用され、同じ結果になるのだと思われる。
 では画像に手を加えたらどうなるだろう。

 保存1回目の画像に矢印を描き足し、保存(2回目)した。描き足していない保存2回目の画像と比較する。

 描き足した部分のみノイズが増えており、変更されていない部分のノイズは変わらない。

 保存1回目の画像全体を90°回転させて保存(2回目)し、また元の位置に戻して保存(3回目)した。回転させていない保存3回目の画像と比較する。

 ほとんど違いがない。どうやらJPEG圧縮のノイズは近隣のピクセルによって決まるので、ピクセルの相対位置関係が変わらない限りはノイズも変わらないようだ。

テスト4:劣化する

 では画像全体に変更を加えるような加工をするたびに再保存したらどうなるだろう。
 64×64の画像を128×128に拡大して保存し、また64×64に縮小して保存、そしてまた128×128にして保存……という手順を10回くり返した(保存をした回数が10回)。拡縮(拡大・縮小)のくり返しで画質が変化しないよう、ニアレストネイバー法で行った。


比較する都合上、64×64の画像と128×128の画像を同じサイズ(256×256)にしている。

 この場合は再保存するたびに劣化が進んだ。拡縮されるたびにノイズのピクセルの位置関係が変わり、新たにノイズが加えられるからだろう。
 おそらく色調補正などの画像全体を加工するものでも、似た結果になるのではないだろうか。

結論

・画像に大きな加工を加えずに再保存するなら、あまり気にする必要はなし。
・画像全体に加工をするなら、JPEGで再保存しない方が良い。

※今回のテスト結果は Photoshop CS6 を使った場合であり、他のソフトだと同じ結果にならない可能性もある。

posted by 葛 at 10:13 | Comment(0) | その他2Dグラフィック