2017年05月22日

株式会社PFUが個人情報を暴露 その2

 〔約2660文字|読了の目安:5.3分〕

 以前の経緯はこちら
 株式会社PFUが個人情報を暴露

その後の経緯

日時 送信元 内容
11/18 PFUの別の窓口に、PFUの関係者が個人情報を書き込んだ可能性が高いことを連絡。事実関係を明らかにするよう要請。
12/2 PFU 現時点で書き込みは確認できない。引き続き調査をする。
1/10 PFU 書き込みは確認できない。外部機関を含めて調査する。
3/6 PFU 調査が当初想定よりも時間を要している。
3/14 調査にこんなに時間がかかるわけがない。調査しているなら調査内容を教えてくれ。外部機関とはどこか?
3/15 PFU 調査中のため答えかねる。
3/29 富士通が加盟している認定個人情報保護団体、日本情報経済社会推進協会に対応を求める。
4/4   プライバシーマーク推進センターが、PFUと富士通の調査を開始(PFUと富士通はプライバシーマークを取得済み)
4/21 PFU 調査の結果、書き込みは確認できなかった。以上。

PFU「お答えできません」

●PFUの問題点
 ・調査するといいつつ、5ヶ月間も回答を引き延ばし。
 ・プライバシーマーク推進センターが報告を求めた途端に「調査が終了した」と言い出す。
 ・調査内容を一切明かさず。
 ・こちらが提示した証拠への反証を一つも挙げず。
 ・PFUが無実である根拠を1つも示さず。

 「回答を引き延ばす」というのは、他の企業のサポートでも見られる手法だ。
 都合の悪いことには答えたくないので、ほとぼりが冷めて相手が忘れることを狙っているのだろう。今回の場合は、証拠となるネットのログの保存期間が過ぎるのを待つ意味もある。
 頭に血が上っているクレーマー相手ならそれも通じるだろうが、正当な指摘とクレーマーの区別がつかないらしい。

 まともな社会人が、これで言い分が通じると思っている……わけがない。
 つまりPFUは「お前のいちゃもんに取り合う気はない。文句があるなら提訴すれば?」と言っているわけだ。裁判を起こすのはハードルが高い。たかが小市民がそんなリスクを背負うわけがない、とタカをくくっているわけだ。

 そんなPFUに電話で問い合わせたらどういう反応が見られるのかは、こちら(17分あるので倍速推奨)

 「お答えできません」「コメントは差し控えさせていただきます」の連発。
 都合の悪いときにこう言って逃げ回るのは、政治家だけでなく一般人も同じだということがわかる。

富士通「回答を差し控える」

●サイトのリンクの不備
 前回の記事では、富士通からPFUに個人情報が渡ったと書いたが、実は富士通のサイトで「お問い合わせ」をクリックするとPFUのサイトにジャンプし、PFUのフォームから個人情報を入力したことが判明した。
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 当時の富士通のサイト(魚拓)
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 知らないうちに外部サイトに飛ばす悪質なアダルトサイトみたいだ、と富士通に指摘したところサイトを修正したが、自社に責任があるとは認めず。
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 今の富士通のサイト

●親会社としての責任
 仕方ないので、PFUの親会社として、今回のPFUの対応は社会通念に照らして適切なものだと考えているかと問い合わせる。
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 富士通「PFUで対応しているので、回答を差し控える」
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 これは「はぐらかし・質問に答えない」というレトリック。親会社としての責任を尋ねているのに、それには答えず、子会社のPFUの話にすり替えている。自社に責任があるともないとも言っていない。
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 富士通のこの返答は、PFUの対応が不適切だと認めているも同然だ。適切だと考えているなら「PFUの対応は適切だ」と明言すればいいのだから。
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 都合の悪い者は逃げ回る、ということがここでも確認できる。

プライバシーマークは 天下り団体のザルマーク

 プライバシーマークは、個人情報保護法よりも厳しい基準をクリアした企業に認定されるという。PFUと富士通も認定されている。
 それを管理しているのがプライバシーマーク推進センター。それを運営しているのが日本情報経済社会推進協会
 明らかにPFUの関係者が個人情報を暴露した今回の件について、ここに問い合わせるとどうなるか。

 1. 推進センターが、PFUと富士通に今回の問題について報告せよと命じる。
 2. 富士通「PFUに聞いてくれ」
 3. PFU「うちは何も悪いことはしてません(ただし根拠は示さない)
 4. 推進センター「PFUは何もしてないってさ(根拠は示してないけど)。以上」

 これのどこが「個人情報保護法よりも厳しい基準」なのだろうか。
 窓口に電話したところ、小馬鹿にしたような口調ではぐらかすばかりで、まるで話にならなかった。

 どうやら日本情報経済社会推進協会というのは、ただの天下り団体のようだ。
 個人情報の保護が叫ばれ出した頃に、私利私欲にまみれた役人が「よっしゃ、これでひと儲けしたろ」とばかりに組織を作り、各企業と癒着してお金を集めて、実質的な効果のない形ばかりのプライバシーマークを与えているというわけだ。ウィキ
 個人情報を守る気など毛頭ない。ザル法ならぬザルマークというわけだ。

 プライバシーマーク推進センターから送られてきた報告書に「ネットにアップするな」と書いてあったので、アップする。

逃げ回った引田くん

 PFUと富士通の対応を見て思い出したのは、小学校の同級生だった引田くん(仮名)だ。

 休み時間、自分と引田くんとあと数名でリコーダーの練習をしていた。自分の楽譜を机の上に置き、みんながそれを見下ろしながらリコーダーを吹いていた。
 すると「ズボッ」という音とともに、引田くんのリコーダーから大量のアレが噴出した。自分の楽譜はびちゃびちゃだ。
 全員、しばし呆然とした後、自分は引田くんに「お前の楽譜と交換しろ!」と詰め寄った。
 ところが引田くんは「嫌だ! 嫌だ!」と言って教室中を逃げ回った。

 引田くんは、明らかに自分が悪いとわかっている。しかし交換には応じない。
 これは一体どういう心理なのだろう? と小学生ながらに思ったものだった。

損得だけで判断する 良心を持たない連中

 今、改めてこの疑問を考えるとこうなる。

 楽譜を交換する……自分の楽譜が汚くなる〈損する〉
 楽譜を交換しない……自分の楽譜はきれいなまま〈損しない〉

 引田くんはこう考え、楽譜を交換しない方を選んだ。つまり損得で考え、損しない方を選んだのだ。
 良心を排除し、損得のみで考えるとこういう結論になる。
 もし楽譜を交換しないことで級友からの信頼が著しく下がりいじめられるといったことがあれば、大損だから、交換に応じただろう。

 PFUと富士通も、引田くんと同じだ。
 個人情報の暴露を認めてしまうと、責任を取らねばならない。
 いくら明白な証拠があっても知らぬ存ぜぬを通せば、相手は裁判に訴えるしかない。それは一般人にはハードルが高い。だから提訴する可能性は低い。
 結果、無視することが一番損にならないと判断したわけだ。

 最近のWELQ問題のように、企業が不祥事を起こしても最初は認めず、ネットで炎上したりニュースに取り上げられてようやく認める。
 最初は無視していても損をしないが、大事になると、無視しつづけることで社会的信頼が落ち大損になる。なので過ちを認める方向に切り替える。

 企業はただそのときに応じて、損をしない方を選んでいるだけだ。良心なんて持っていないからだ。

posted by 葛 at 21:53 | Comment(0) | 語ってみた

2017年04月10日

[論理] 根拠を書こう

 〔約2730文字|読了の目安:5.5分〕

 意見を述べるときにまずするべきことでありながら、あまり守られていないのは、根拠を用意することだ。

●根拠を言わない人
 意見を述べるときに「私はこう思う」としか言わない人が社会人にもけっこういるのだが、これには根拠がない。
 意見を述べるとき、相手は自分と同じようには思っていないのだから(同じように思っているなら、そもそも意見を伝える必要がない)、「私はこう思う」と言ったところで「そうですか、こちらはそう思いません」と言われて会話は終わってしまう。
 根拠を示さない意見が誰かに同意されたとしても、それはたまたま同じ意見だっただけだ。

●根拠=知見・推論
 意見を述べる際に「〜〜だから、私はこう思う」と言うことで、自分がそう思う理由を伝えられる。この「〜〜だから」が根拠だ。この「〜〜だから」の部分が強いほど、説得力のある意見になる。
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 自分が正しいと思っている意見でも、根拠がなければ、他人からすれば何の説得力もない。
 自分だけが正しいと思っている意見は、主観だけで正しいと思っている意見だ。人は、持っている知見も推論の方法も違う。主観によって物事の捉え方は異なる。
 同じ知見を共有し、正しい推論を行えば、おのずと結論は同じになる。高度に難しい問題や倫理的な問題だと、それでも同じ結論にならない場合もあるが、日常的な大抵の問題なら同じ結論になる筈だ。
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 だから根拠を述べるということは、自分の知見と推論を相手に伝え、なぜ自分がその結論に至ったかを説明することだ。その知見と推論が正しいと認められれば、その結論は客観的に正しいことが証明される。そうすれば、自分の意見は正しいと他人に思わせられる。
 根拠とは、客観的な正しさを証明するものだ。

●根拠の必要性がわかっていない人
 「調べればわかる」とか「もっと勉強しろ」と言って根拠を示さない人がいるが、それは自分の意見・知識が絶対に正しいと思っているわけで、議論する態度ではない。
 異なる意見が複数ある場合、各々が自分の意見が正しいと思っているのだから、特定の意見が正しいとは断定できない。
 だからこそ、どれが正しいかをはっきりさせるために議論をする。そのために根拠が必要になる。
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 自分の意見は正しいのだから議論する必要はない、だから根拠を示す必要もないと言う人もいる。しかし、自分がどれだけ信頼されている人物かと考えてみた方がいい。
 病院で医者に「その病気にはこの薬が効きます」と言われれば根拠が示されなくとも信頼性があるが、ネット上などのどこの馬の骨かわからない相手に根拠を示さずに意見を言われても、信頼性はない。
 説得するつもりがないなら、最初から意見を言うべきではない。それはただの自己満足であり、相手を邪魔するだけだ。

●議論の心構え
 議論に話を戻すと、議論とは「自分の意見も間違っているかもしれない」という前提の元に相手と意見を交換し、どちらが正しいかをはっきりさせるものだ。
 これは、自分の意見に自信を持つなということではない。現時点での自分の知見と推論においては今の自分の意見が正しいと考えられるが、新たな知見と推論が入ればその考えが変わることはあり得る、と心得ておくということだ。
 こう心得ておかなくては、他人の意見に耳を傾けられない。他人の意見を聞かない人は、自分が絶対に正しいと思っている人で、議論ができない人だ。

根拠を書かない相手は取り合わない

 ネット上には様々な意見・主張の書き込みがあるが、それが一考に値するかどうか、確認する簡単な方法がある。

 根拠が書かれているかを見ればいい。

 根拠が書かれていなければ、その相手が、

 1. 意見に根拠が必要だということがわかっていない
 2. 根拠がない・根拠を書いたつもりが根拠になっていない
 3. 根拠が必要なのは知っているが、手を抜いている

 のいずれかということだ。
 1, 2 は論理力に欠けるし、3 はまともな対応が期待できない。
 いずれにしろ、まともに議論できる相手である可能性は低い。匿名の相手であればなおさら無責任な対応をするだろうから、取り合わないのが賢明だ。

根拠を省略する場合

■一般常識は省略する
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 根拠は必ず用意しなければいけないわけではない。
 例えば、

今日は暑いから、夕食は鍋じゃなくて、そうめんにしよう。

 これは何の問題もない文章だが、実は「鍋は熱い」「そうめんは冷たい」「暑い日は熱い物より冷たい物を食べた方が気持ちがいい」という根拠が省略されている。
 しかしそれは一般常識で、わざわざ書く必要はない。あえて書いてもいいが、労力が割かれるし、文章が冗長になって読みにくくなる。

 だから一般常識は省略していい。

■どこまでが一般常識か
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 しかし、どこまでが一般常識かは、はっきりしない場合がある。

 相手が外国人だとかいう特殊な場合を除いて、一般的な成人の日本人と話す場合であれば、以下のようなことは一般常識だといえる。

◎高校教育までの内容
ただし高校にも偏差値の高い低いがあるし、文系に進んだ人は数学や物理の内容なんてほとんど覚えていないだろう。高校教育の初歩あたりだろうか。
◎大新聞に何度も出てくること
新聞を読んでいない人もいるが、何度も出るようなことであればテレビやネットなど他の場所でも目にしているだろう。

 逆にこういうことは一般常識ではない。

◎ネット上の流行
SNSなどに入り浸っている人はその世界がすべてと思い込みやすいようだが、ネットを利用していても流行に触れていない人もいる。一時的な流行語は通じない相手もいる。
◎テレビに出ている芸能人など
テレビに出てくることは誰でも知っていると思い込む人が多いが、そういうのに興味のない人もいる。

 大ざっぱにまとめると、高校生にも理解できる範囲、とすれば問題ないだろう。
 岩波新書などの新書は、読者層にそれに近い基準を想定して書かれているように思う。
 ちなみに知能指数(IQ)は15, 16歳で頭打ちになるといわれている。ただし知識と経験は歳を重ねると共に増えていく。

■それ以外に省略するもの
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 それ以外に、こういったことは省略していい。

◎あまり重要ではないこと
自分の意見を直接支える根拠ではないもの。
◎簡単に調べられること
今ならネットで検索できるので、説明すると冗長になってしまうもの、一部の人だけが知らないだろうものは、検索してください、という姿勢もあり得る。
◎専門記事における専門用語の意味
例えば3DCGの記事を書くのに3DCGの専門用語を毎回説明していたら労力もかかるし冗長になってしまう。3DCGの記事を読むのはほとんど3DCGの知識のある人なのだから、省略していい。

 ただし意見を述べる側に説明する義務(立証責任)があるので、義務を放棄することのないようにする。

posted by 葛 at 12:39 | Comment(0) | 論理・詭弁

2016年12月15日

Googleは著作権侵害を推進する脱法企業

 なんだこれ。

 アニメを無料で観られる? どうやって?

 あ〜……
 違法アップロードされてる海外のサイトに接続するわけね。

 起動してみると、こんな感じで広告だらけ。
 アプリが使われれば使われるほど、デベロッパーである k3.hiroshi@gmail.com の元にアフィリエイト報酬が入るというわけ。

 海賊サイトはそこで広告を出すことで利益を得ているが、その広告を排除し、自分の広告を出すことで利益を横取りしようという、海賊海賊サイトアプリだ。えげつないにも程がある。

 この広告を出しているのはGoogleアドセンスではなく、nendというところだった。運営しているのはファンコミュニケーションズとかいう会社。

 英語字幕。確かに海賊版。

2-1.本サービスは、検索の補助機能を提供するものです。当サービスは検索物のアップロード、またそれを推奨、援助などの幇助行為は一切行っておりません。
http://api.animas.link/api/rules

 ナイフで刺したけど殺すつもりはなかった、みたいな。
 ちなみに犯罪行為へのリンクは犯罪になる可能性があるそうな。

2-2.本サービスは、サービス利用者が検索物を購入また、関連商品の購入により業界発展をすることを目的とします。
(同上)

 清々しいほどのうんこ野郎だな。
 レビューではさぞかし批判されているのだろう。

 ……違法だと認識しているのは1人もおらず。
 ここは本当に日本なのか? いつの間にか著作権の意識が緩い某国に来てしまったのだろうか。つうかアニメなんてdアニメストアで432円/月で大量に見放題なんだが、432円/月すら惜しいのかこいつらは。

 しかしよくこんなアプリが審査を通ったな。Googleは何も審査してないのか。
 まあ通報すればすぐ削除されるだろう。通報しちゃうもんね〜。


https://support.google.com/legal/troubleshooter/1114905#ts=1115643

 ……どれにも当てはまらない?
 第三者は著作権侵害しているものを見つけても通報できないのか。

 あっ、そういえば……GoogleってYouTubeの親会社じゃん。
 違法コンテンツを大量に保持していながら、著作権者本人の申し立てしか受けつけず、違法コンテンツの大半をそのままにしているYouTubeの親会社だよ。そんなGoogleに良識を期待するのがそもそも間違いだった。

〈参考〉ニコ動のムービーを消してYouTubeのは残した理由

Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです。
https://www.google.com/intl/ja/about/company/

 なるほど、海賊版のアニメに世界中の人々がアクセスできるようにしたわけですね。

6.悪事を働かなくてもお金は稼げる。
https://www.google.co.jp/intl/ja/about/company/philosophy/

 なに言ってんのこいつ。

 Googleは、ネット民主主義とか崇高な理念を掲げているようなことを言っているけど、所詮は営利企業に過ぎない。ネットの覇権を握るためなら他人の権利を侵害しても平気な顔だ。こんな会社のサービスにばかり頼るのは危険だ。

 著作権侵害は中国の専売特許みたいに言われているけど、日本と英語圏(たぶんアメリカ)でもこの有り様。中国を責める資格はない。

posted by 葛 at 14:30 | Comment(0) | 語ってみた