2017年04月10日

[論理] 根拠を書こう

 〔約2730文字|読了の目安:5.5分〕

 意見を述べるときにまずするべきことでありながら、あまり守られていないのは、根拠を用意することだ。

●根拠を言わない人
 意見を述べるときに「私はこう思う」としか言わない人が社会人にもけっこういるのだが、これには根拠がない。
 意見を述べるとき、相手は自分と同じようには思っていないのだから(同じように思っているなら、そもそも意見を伝える必要がない)、「私はこう思う」と言ったところで「そうですか、こちらはそう思いません」と言われて会話は終わってしまう。
 根拠を示さない意見が誰かに同意されたとしても、それはたまたま同じ意見だっただけだ。

●根拠=知見・推論
 意見を述べる際に「〜〜だから、私はこう思う」と言うことで、自分がそう思う理由を伝えられる。この「〜〜だから」が根拠だ。この「〜〜だから」の部分が強いほど、説得力のある意見になる。
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 自分が正しいと思っている意見でも、根拠がなければ、他人からすれば何の説得力もない。
 自分だけが正しいと思っている意見は、主観だけで正しいと思っている意見だ。人は、持っている知見も推論の方法も違う。主観によって物事の捉え方は異なる。
 同じ知見を共有し、正しい推論を行えば、おのずと結論は同じになる。高度に難しい問題や倫理的な問題だと、それでも同じ結論にならない場合もあるが、日常的な大抵の問題なら同じ結論になる筈だ。
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 だから根拠を述べるということは、自分の知見と推論を相手に伝え、なぜ自分がその結論に至ったかを説明することだ。その知見と推論が正しいと認められれば、その結論は客観的に正しいことが証明される。そうすれば、自分の意見は正しいと他人に思わせられる。
 根拠とは、客観的な正しさを証明するものだ。

●根拠の必要性がわかっていない人
 「調べればわかる」とか「もっと勉強しろ」と言って根拠を示さない人がいるが、それは自分の意見・知識が絶対に正しいと思っているわけで、議論する態度ではない。
 異なる意見が複数ある場合、各々が自分の意見が正しいと思っているのだから、特定の意見が正しいとは断定できない。
 だからこそ、どれが正しいかをはっきりさせるために議論をする。そのために根拠が必要になる。
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 自分の意見は正しいのだから議論する必要はない、だから根拠を示す必要もないと言う人もいる。しかし、自分がどれだけ信頼されている人物かと考えてみた方がいい。
 病院で医者に「その病気にはこの薬が効きます」と言われれば根拠が示されなくとも信頼性があるが、ネット上などのどこの馬の骨かわからない相手に根拠を示さずに意見を言われても、信頼性はない。
 説得するつもりがないなら、最初から意見を言うべきではない。それはただの自己満足であり、相手を邪魔するだけだ。

●議論の心構え
 議論に話を戻すと、議論とは「自分の意見も間違っているかもしれない」という前提の元に相手と意見を交換し、どちらが正しいかをはっきりさせるものだ。
 これは、自分の意見に自信を持つなということではない。現時点での自分の知見と推論においては今の自分の意見が正しいと考えられるが、新たな知見と推論が入ればその考えが変わることはあり得る、と心得ておくということだ。
 こう心得ておかなくては、他人の意見に耳を傾けられない。他人の意見を聞かない人は、自分が絶対に正しいと思っている人で、議論ができない人だ。

根拠を書かない相手は取り合わない

 ネット上には様々な意見・主張の書き込みがあるが、それが一考に値するかどうか、確認する簡単な方法がある。

 根拠が書かれているかを見ればいい。

 根拠が書かれていなければ、その相手が、

 1. 意見に根拠が必要だということがわかっていない
 2. 根拠がない・根拠を書いたつもりが根拠になっていない
 3. 根拠が必要なのは知っているが、手を抜いている

 のいずれかということだ。
 1, 2 は論理力に欠けるし、3 はまともな対応が期待できない。
 いずれにしろ、まともに議論できる相手である可能性は低い。匿名の相手であればなおさら無責任な対応をするだろうから、取り合わないのが賢明だ。

根拠を省略する場合

■一般常識は省略する
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 根拠は必ず用意しなければいけないわけではない。
 例えば、

今日は暑いから、夕食は鍋じゃなくて、そうめんにしよう。

 これは何の問題もない文章だが、実は「鍋は熱い」「そうめんは冷たい」「暑い日は熱い物より冷たい物を食べた方が気持ちがいい」という根拠が省略されている。
 しかしそれは一般常識で、わざわざ書く必要はない。あえて書いてもいいが、労力が割かれるし、文章が冗長になって読みにくくなる。

 だから一般常識は省略していい。

■どこまでが一般常識か
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 しかし、どこまでが一般常識かは、はっきりしない場合がある。

 相手が外国人だとかいう特殊な場合を除いて、一般的な成人の日本人と話す場合であれば、以下のようなことは一般常識だといえる。

◎高校教育までの内容
ただし高校にも偏差値の高い低いがあるし、文系に進んだ人は数学や物理の内容なんてほとんど覚えていないだろう。高校教育の初歩あたりだろうか。
◎大新聞に何度も出てくること
新聞を読んでいない人もいるが、何度も出るようなことであればテレビやネットなど他の場所でも目にしているだろう。

 逆にこういうことは一般常識ではない。

◎ネット上の流行
SNSなどに入り浸っている人はその世界がすべてと思い込みやすいようだが、ネットを利用していても流行に触れていない人もいる。一時的な流行語は通じない相手もいる。
◎テレビに出ている芸能人など
テレビに出てくることは誰でも知っていると思い込む人が多いが、そういうのに興味のない人もいる。

 大ざっぱにまとめると、高校生にも理解できる範囲、とすれば問題ないだろう。
 岩波新書などの新書は、読者層にそれに近い基準を想定して書かれているように思う。
 ちなみに知能指数(IQ)は15, 16歳で頭打ちになるといわれている。ただし知識と経験は歳を重ねると共に増えていく。

■それ以外に省略するもの
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 それ以外に、こういったことは省略していい。

◎あまり重要ではないこと
自分の意見を直接支える根拠ではないもの。
◎簡単に調べられること
今ならネットで検索できるので、説明すると冗長になってしまうもの、一部の人だけが知らないだろうものは、検索してください、という姿勢もあり得る。
◎専門記事における専門用語の意味
例えば3DCGの記事を書くのに3DCGの専門用語を毎回説明していたら労力もかかるし冗長になってしまう。3DCGの記事を読むのはほとんど3DCGの知識のある人なのだから、省略していい。

 ただし意見を述べる側に説明する義務(立証責任)があるので、義務を放棄することのないようにする。

posted by 葛 at 12:39 | Comment(0) | 論理・詭弁

2016年12月15日

Googleは著作権侵害を推進する脱法企業

 なんだこれ。

 アニメを無料で観られる? どうやって?

 あ〜……
 違法アップロードされてる海外のサイトに接続するわけね。

 起動してみると、こんな感じで広告だらけ。
 アプリが使われれば使われるほど、デベロッパーである k3.hiroshi@gmail.com の元にアフィリエイト報酬が入るというわけ。

 海賊サイトはそこで広告を出すことで利益を得ているが、その広告を排除し、自分の広告を出すことで利益を横取りしようという、海賊海賊サイトアプリだ。えげつないにも程がある。

 この広告を出しているのはGoogleアドセンスではなく、nendというところだった。運営しているのはファンコミュニケーションズとかいう会社。

 英語字幕。確かに海賊版。

2-1.本サービスは、検索の補助機能を提供するものです。当サービスは検索物のアップロード、またそれを推奨、援助などの幇助行為は一切行っておりません。
http://api.animas.link/api/rules

 ナイフで刺したけど殺すつもりはなかった、みたいな。
 ちなみに犯罪行為へのリンクは犯罪になる可能性があるそうな。

2-2.本サービスは、サービス利用者が検索物を購入また、関連商品の購入により業界発展をすることを目的とします。
(同上)

 清々しいほどのうんこ野郎だな。
 レビューではさぞかし批判されているのだろう。

 ……違法だと認識しているのは1人もおらず。
 ここは本当に日本なのか? いつの間にか著作権の意識が緩い某国に来てしまったのだろうか。つうかアニメなんてdアニメストアで432円/月で大量に見放題なんだが、432円/月すら惜しいのかこいつらは。

 しかしよくこんなアプリが審査を通ったな。Googleは何も審査してないのか。
 まあ通報すればすぐ削除されるだろう。通報しちゃうもんね〜。


https://support.google.com/legal/troubleshooter/1114905#ts=1115643

 ……どれにも当てはまらない?
 第三者は著作権侵害しているものを見つけても通報できないのか。

 あっ、そういえば……GoogleってYouTubeの親会社じゃん。
 違法コンテンツを大量に保持していながら、著作権者本人の申し立てしか受けつけず、違法コンテンツの大半をそのままにしているYouTubeの親会社だよ。そんなGoogleに良識を期待するのがそもそも間違いだった。

〈参考〉ニコ動のムービーを消してYouTubeのは残した理由

Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです。
https://www.google.com/intl/ja/about/company/

 なるほど、海賊版のアニメに世界中の人々がアクセスできるようにしたわけですね。

6.悪事を働かなくてもお金は稼げる。
https://www.google.co.jp/intl/ja/about/company/philosophy/

 なに言ってんのこいつ。

 Googleは、ネット民主主義とか崇高な理念を掲げているようなことを言っているけど、所詮は営利企業に過ぎない。ネットの覇権を握るためなら他人の権利を侵害しても平気な顔だ。こんな会社のサービスにばかり頼るのは危険だ。

 著作権侵害は中国の専売特許みたいに言われているけど、日本と英語圏(たぶんアメリカ)でもこの有り様。中国を責める資格はない。

posted by 葛 at 14:30 | Comment(0) | 語ってみた

2016年12月09日

GIGAZINE、カラパイア、らばQ は著作権侵害の違法サイト

 〔約1900文字|読了の目安:3.8分〕

 あまり言われていないので書くけど、GIGAZINEカラパイアらばQなどは、海外サイトの記事を無許可で翻訳して記事にしている。

 GIGAZINの例えばこれは、海外サイトの記事を翻訳し、画像/ムービーのキャプチャを自サイトのサーバーに転載している(YouTubeの埋め込みはたぶん規約でOK)。どこにも許可を取ったと書いていない。

 カラパイアはこれ↓を見れば分かる。
 
 http://karapaia.livedoor.biz/archives/52111161.html

 これらはもちろん著作権侵害で、具体的には翻訳権の侵害になる。〈参考〉
 著作物を翻訳する権利は著作権者が持っているので、無許可で翻訳はできない。海外の雑誌を勝手に翻訳して発行したら駄目に決まっているので当たり前だ。

 らばQには著作権についての記述はない。どうも文体を崩しているので翻訳ではないと考えているのかもしれないが、翻訳でないとしても翻案=要約だ。これには翻訳権と同様、翻案権がある。
 それに他人のサーバーの画像を無許可で自サーバーにコピーするのは公衆送信権の侵害だ。他人が撮影した写真を、紹介だからといって勝手に雑誌に載せたら駄目に決まっているので当たり前だ。

 ところがどのサイトとも、その駄目に決まっていることを堂々と行い、アクセス数を稼ぎ広告収入を得ている。完全に違法だ。
 相手が海外だからバレないだろうと考えているわけだ。
 翻訳は複数のスタッフが行っているが、無償で翻訳をする人が複数いるわけないから、当然報酬をもらっている筈だ。「非商用だから無許可でもいいと思った」という言い訳は通用しない。

 非商用といえば、らばQはこんなことを書いている。
 
 http://labaq.com/archives/51019946.html

 「アクセス増加や広告収益などの目的で」他人の記事を勝手に翻訳して公開している奴が何を言っているのだろうか。

よくある言い訳

 上のカラパイアの文章にもあるけど、無断転載などをしているサイトで、どこの誰が使い出したか知らないが「著作権の侵害を目的とするものではありません」という言い訳をよく見かける。

 当たり前だが、著作権の侵害を目的としていないからといって、著作権侵害が許さるわけではない。
 そもそも著作権の侵害をする人、例えば海賊版の映画やアニメを公開したり観たりする人って、「よーし、これからこの著作権者の権利を侵害してやるもんね〜。うっしっし」とか思いながら行為に及ぶのだろうか。違うだろう。お金を払うのが嫌だから結果的に侵害してしまうんだろう。

 こんな頭の悪い言い訳を使う人は「私は頭が悪いです」と宣言しているも同然なので考え直した方がいい。

 本来は海外サイトに使用料金を払って翻訳するべきなのだが、その金と手間が惜しいから無許可でやっている。そしてその結果の利益は得ている。どう見ても泥棒だ。

誰しも著作権を侵害してはいるが

 とはいえ、ネットを利用していれば誰しも多かれ少なかれ著作権は侵害しているものだ。
 YouTubeには違法アップロードが大量にある。海外のコンテンツだとどれが違法か判断するのも難しいから、知らないうちに違法なものを鑑賞していることもあるだろう。

 だからといって、GIGAZINらが許されるわけではない。
 同じ著作権の侵害でも例えば、二次創作の同人誌はOKだが、海賊版(丸ごと複製)はNGといったように、ここまでならOK、ここからはNG、といった、世間の合意として大体の線引きがある(著作権侵害は親告罪なので訴えられないと問題にならない)

 GIGAZINらは、無許可で他人の著作物を利用して利益を得ているから、明らかにNGだ。これが許されるなら、中国の企業がたまにやらかす著作権侵害も許されてしまう。

らばQのモラルの低さ

 らばQのこちらの記事。
 猫たちがミルクの取り合いをしてるかと思ったら…「あれーっ!?」(動画)

 元のYouTubeのコメント欄でも指摘されているが、これは10秒のところから逆再生している。実際にはミルクを譲り合ってはいない。

 猫の習性について誤った知識が広まると良くないと思って、らばQにこの件を(丁寧な文章で)指摘したら、無視された。
 記事内容の正誤などどうでもいいらしい。当たり前のように著作権侵害をしている連中のモラルなんてこの程度ということだ。

GIGAZINEは他人に厳しく自分に甘い

 GIGAZINEは、新聞やテレビといった従来のマスコミに批判的だが、そんなGIGAZINEが記事をアップした後に間違っていた箇所をこっそり修正するのを目撃したことがある。情けない連中だ。

 「GIGAZINE」が抱えている10個の問題点まとめ

posted by 葛 at 20:45 | Comment(3) | 語ってみた