「残弾1、ただし、腹ん中にな」
「少しなら待ってもいいぜ、どうする?」
「待つのはあの二人だ。俺の帰るのを、待ってるんだ」
「1995年夏、人々は溶けかかったアスファルトに己が足跡を刻印しつつ歩いていた。ひどく暑い」
「おごらせてもらうぜ」
「立ち食いによる、軽食販売禁止条例。通称“立禁法”」
「味も人も変わっちまった。この俺もな」
「大体私は、イニシャルがNの奴は信用せんのだ。ああ、こいつはNかと思っていると、いつの間にか横になってZになっている。甚だしい奴はさらに裏返ってSになっていたりする。まったくひどいもんだ」
「アルコールはいろんなものの保存に役立つ。ただし隠し事以外のね」
「冷たい独房の中で希望のひと月が過ぎ、熱望のふた月が過ぎ、誰もが気づき始めた。俺たちは結局、取り残されたんだってなぁ」
「強化服を脱いだ俺たちは、脱皮を終えたばかりの蟹より脆かったんだ。一人また一人と、自分の甲羅に合った穴を掘って潜り込んじまったってわけさ。それ以上傷つくことも絶望することもない代わりに、そのときからまた、希望も永遠に失われちまったんだ」
「いつか帰ってくるだろうお前を待ち続けていた俺たちが間違っていたんなら、帰るべき街を夢見続けていたお前も同罪かもしれん。あのとき再会を誓って別れた、いや、そのことなしには別れられなかった俺たちの、共同正犯って奴かもな」
「ばか、謝ったりしないでよ。返ってみじめになっちゃうじゃないか」
「人間の中途半端な肉体は何ものにも打ち勝つことができない。すべては消え去り、後には歴史だけが残る」
「人間は天使でもなければ獣でもない。しかし不幸なことに人間は、天使のように行動しようと欲しながら、獣のように振る舞ってしまう。“勇敢な軍人の条件は勇敢に過ぎないことだ”という言葉もある。君たちは職務を果たすのに忠実であり過ぎた。過ちは修正されねばならん」
「“失敗には達人というものはない。人は誰でも失敗の前には凡人だ” プーシキン『大尉の娘』より」
「“私に1分時間をください” 鈴木健二『紅白歌合戦』」